「一皮剥けました」ハナミズキ

August 23, 2010

最高裁判決②

最高裁判決で「年金型保険」の遺族受取について、相続税と所得税の課税が二重課税であるとされました(本年7月6日)。

「年金型保険」とは、年金払特約付きの生命保険で、被保険者の保険事故によって、遺族等が年金の形で保険金を受け取る契約の保険をいいます。

被保険者のリタイア後の生活資金として「年金型保険」を利用されることも珍しくありません。
また、相続税、贈与税対策としても、よく利用されていました(注)。

通常、「年金型保険」は、雑所得として保険金額から必要経費(払込保険料を基に計算)を控除して、毎年所得税の申告を要します。

では、何が今回二重課税になっているのかと申しますと、

相続税では、この「年金型保険」の将来にわたる受給権を、確定した総年金受取金額を基に、現在価値に割り引いて相続財産として評価します。

簡単にいえば、今受け取る100万円と1年後、2年後に受け取る100万円では、それぞれの現在における価値が違うということに着目した評価になります。

今受け取った100万円を、そのまま預金若しくはリスクの小さい投資に回したら1年後どうなるでしょうか?さらに2年後は・・・?
きっと、ちょっとは増えてますよね。

そうすると、1年後、2年後に受け取る100万円は、ひょっとしたら現在90何万円かも知れないと考えるのが、現在価値に割り引くということなのです。

今の90何万円かが、100万円になって1年後に受け取る場合には、1年間の運用の結果増えたのですから、所得税が課税されて当然ということになります。

しかし、今回の裁判の争点は、被保険者の死亡日を基準日として、受け取った1回目の保険金について所得税を課すのは、相続財産として把握済みの評価額と同額であり、二重課税になっているのではないかというものです。

課税理論的には、これはどうしても二重課税にならざるを得ないですよね。
確か、同様の課税が20万件位あると新聞等で報じられていたのではないでしょうか。

保険会社が年金型保険金を支払うときに、必ず所得税を源泉徴収しなければならないことになっていますから、こんなに件数が膨らんだのですね。

二重課税については、課税技術上、容認しているものもありますので、すべて排除しなければならないというものではありませんが、公平な課税の観点から、今後検討の必要な事項が他にあるのかも知れません。

(注)今後は、相続時に解約、一時払とした場合の返戻金や保険金額で評価するようになりますので、節税の効果は望めなくなります。

tshishido at 23:45│Comments(0)TrackBack(0)税について 

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