June 2011

June 30, 2011

所得税減免措置②

単に、所得税の減免といっても「2種類」あります。

一つは、所得税法による雑損控除です。
もう一つは、災害減免法における減免措置になります。

この二つはどう違うのでしょうか?
また、納税者に有利な方法はどちらなのでしょうか?

まず、雑損控除から説明します。

みなさん、所得税の計算過程を思い出してください。
とはいっても、給与所得のみの方は、年末調整で1年分の所得に対する税額が、きちんと計算され、過不足について徴収、還付されていますから、納税の実感がわかないですし、ましてや、計算過程など知る由もないですよね。
難しい話はさておき、生命保険料や地震保険料などの控除証明書を会社に出していますよね。これは、税率を掛ける前の所得から、それぞれの一定額を差し引いているのです(所得控除といいます)。なかには、住宅ローン控除を受けられている方もいらっしゃると思いますが、これは所得控除ではなく、所得に税率を掛けた税額から直接一定額を引いているのです(税額控除といいます)。

雑損控除はといいますと、前者の「所得控除」になります。

1.雑損控除の対象資産は、居住用不動産(土地、建物)、生活用動産(家具、什器、衣服、車両など)です。
2.雑損控除の計算方法は、「損失額-所得金額の10分の1」または「災害関連支出額-5万円」のうちいずれか多いほうの金額です。

次に、災害減免法による減免は、雑損控除のように所得をマイナスするのではなく、直接税額を軽減・免除するものです。

1.災害減免法の対象資産は、損害額が住宅または家財の価額の2分の1以上である場合です。
2.所得税の軽減・免除の方法は、
1年の総所得金額が500万円以下・・・全額免除
             500万円超750万円以下・・・2分の1軽減
             750万円超1000万円以下・・・4分の1軽減
            1000万円超・・・なし

さて、「所得税法による雑損控除」と「災害減免法による減免措置」では、どちらが納税者にとって有利なのでしょか。
実は、災害範囲、損失金額、年分の所得金額、家族構成などなど、個別に判断、計算をしてみないと、どちらが有利なのかは分からないのです。実際、両方計算してみて、有利なほうで申告等をすればよいのです。

ちなみに、その際、注意しなければならないのは、所得税ではなく「住民税」です。基本的には、災害減免法による減免措置をうけたときは、所得税のみで住民税の軽減には及びません。したがいまして、両者を比較検討するときは、住民税のことも考慮されたほうがよろしいと思います。さらに、住民税が違えば、公立の保育所などの料金も違ってくる可能性がありますよ。

tshishido at 23:49|PermalinkComments(0)TrackBack(0)税について 

June 29, 2011

り災(届出)証明 所得税減免措置①

先週やっと、自宅の「り災証明」を得るため、区役所に行って申請(届出)してきました(現地確認まで2~3ヶ月かかるそうです)。たぶん我が家は半壊以上の判定になるのではないかと思います。けっこう、あっちこっち、被害があります。

庁舎内は、高速道路通行料免除のための、「り災届出証明書」を取得する人でいっぱいでした(7月31日までは、この届出証明書があれば無料で通行できるようです)。

東北税理士会では、震災後、各地で無料税務相談会を行っています(7月には私も県内の税務署会場で執務にあたります)。

前回は、震災に係る所得税の取り扱いについて、目次だけ羅列しましたが、照会の多い点、間違いやすい点等を中心に、何回かに分けて解説したいと思います。

最初に、誰がどのように減免をうけることが出来るのか、その概略をお話します。

まず、減免を受けることが出来る人は、

サラリーマンや会社役員、個人事業者など、平成22年分の所得に対し、既に源泉納付または申告納税した人、またはこれから申告し納税する人です(源泉納付している人は確定申告により、申告納税した人は、更正の請求によりそれぞれ還付をうけます)。

個人事業者の平成22年分の所得計算において、震災による純損失がある場合には、さらに1年間さかのぼり、平成21年分の所得に対し納めた所得税の還付をうけることもできます。

減免の対象は、

住宅、家財、車両などの個人資産や
棚卸資産、事業用・業務用固定資産などの事業用資産の被災損失(関連支出を含む)です。

事業用資産については、所有者である事業主において、減免をうけることになりますが、

個人資産の場合は、必ずしも所有者だけが減免をうけるとは限りません。
資産の所有者を「控除対象配偶者」または「扶養親族」としている納税者も、その資産に係る損失をもって減免をうけることができます。